スギノイチ

組織暴力 流血の抗争のスギノイチのレビュー・感想・評価

組織暴力 流血の抗争(1971年製作の映画)
4.0
全体的には別にどうということもない話だけど、OPとクライマックスが最高すぎる。

ニヤけた郷鍈治が唾を吐き飛ばすとともに始まるOPからして格好良い。
音楽もタイトルバックも最高で、やくざ映画史上トップクラスのOP。

それ以降はどうなのかというと、これ!というシーンはそんなに無い。
宍戸錠は内田良平の策謀に翻弄されっぱなしだし、舎弟の沖雅也などは足手まといも甚だしく、赤ん坊のお守りの最中に敵に襲われ、鳴き声のせいで見つかってしまうシーンなんか情けなくて見てられない。
その後も利用されっぱなしで穴戸錠や藤竜也をいたずらにピンチに陥らせる。
佐藤允や梶芽衣子も昔気質の人情に従って健気に生きるが、非道な敵達にただただ蹂躙されるだけ。

じゃあ何が格好良いのかと言うと、これはもうクライマックスに尽きる。
『縄張はもらった』のラストシーンをさらに先鋭化させたような、穴戸錠と藤竜也の並んだ画。
流れ的には佐藤允との共闘するのが定石なのだが、ここで藤竜也というところが憎い。
冒頭から最後まで、宍戸錠をずっと支えていたのは藤竜也だったからだ。
ジャンプカットで交わされる最後の会話、血と酒、穴戸錠。
泥臭く生々しい東映とは違う、ノワール色の強い日活やくざ映画ならではの名場面。
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