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ホンジークとマジェンカのumihayatoのレビュー・感想・評価

ホンジークとマジェンカ(1980年製作の映画)
5.0
毎作品、その映像の魔術師ぶりにはうっとりせずにはいられないゼマン作品。
お話も素晴らしい。

「古い年代記には、戦争のこと、勝利者の英雄のことしか描かれていない。
そういう者の活躍の場が多かったからだ。
我々は小さな英雄達の話を書きたい。」
そうしてこの映画では、1人の平凡な少年の
物語が御伽噺や冒険譚の様に描かれる。

そう、どんな人生も御伽噺で冒険で掛け替えのない教訓なのだ。
「権力者達の虚栄に満ちた英雄譚だけが、人生で目指すべき合理ではない。」ということ、いやむしろそれは1番バカらしいし、変哲のない御伽噺の中にこそ、大多数の名もなき英雄達にとって、大切な事があるよという姿勢に共感しか生まれない。

少年は、旅に出て、盗賊と出会い、兵士に追われ、恋をして。
その時々に、天使と悪魔と傍観者の3人の妖精が彼に助言を与える。
天使を選ぶ時もあれば、悪魔を選ぶこともある。
ただそのどちらか一方が正しいということも悪いということはなく、個人の人生においてはそれは「使いよう」であり、「善も悪も、それをやったら人間としておしまいよ」というボーダーラインもしっかり描かれているところも、踏み外しからの立ち直りが「愛」であることも素晴らしい。
もちろん権力者は何をやっても動機から結果までちゃんとクソです。
パーフェクト。
音楽も好きです。


シネマ館で見つけて買ってしまったBOXセット1枚目。
早速いい作品を引いてしまった。
遺作なんだね。

あと7枚。楽しみ。
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