リプリー

ハイテンションのリプリーのレビュー・感想・評価

ハイテンション(2003年製作の映画)
3.7
学生時代(高校生だったかな?)フレンチホラー、スパニッシュホラーと呼ばれるものをキチンと見ようと決め、一発目に選んだのが本作。
まだ映画の経験値が浅い当時は、物語の2幕目に繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄絵図に大層衝撃を受けた。とはいえ、
オチには「えっー!だってそれって…えっー…」となったわけで、本当に取ってつけたよう、という言い回しがピッタリくるどんでん返しだとは思う。
久しぶりにオチをわかった上で見返すと、初っ端の主人公が言う「怖い夢を見た」や、あの人が死に際問いかける「なぜなの」というセリフなどそれなりに布石はあり、演出面でもあの人とあの人は同じ画角に映さないなどの配慮は見られる。が、それでもじゃああの時もそうなの?そう考えるとあの時に親友が取るリアクションはおかしくない?、というか序盤にあるミスリードは何なの?と絶対的に腑には落ちない。
あまりにアクロバティック過ぎてアンフェアなオチで、これなら「グランド・イリュージョン」一作目のオチの方がまだフェアと言えると思う。
それでもそれでもやはり、中盤の緊張感は凄まじいし、恐ろしいし、面白い。
サスペンスを高めるための演出もうまく、このあたりはさすがアジャ監督、といった感じ。
物語的にもアイツが秘めた想いを持った彼女の男性性の発露と考えると切なさも感じる。

後にアジャ監督は、活躍の場をハリウッドに移すが、そちらのほうが肌に合っていたのかな、とは思う。
でもまあ、素人がアンフェアだと思うことを作り手が気づいてないはずもなく、明らかにこういった賛否を巻き起こすのを意図して作られてる。ホラー好きは必見の作品で、まだ見てない人がもしいればぜひ。