前半、トヨエツ史上屈指のクズ男を演じてるな～、と思いましたがなるほどそういうことでしたか。正直、このテーマとしてはかなりベタベタな内容です。が、そもそもこのテーマに弱いので、やはり反射的に泣かされる場面が何度かありました（特に中盤の家で妻の写真を撮りまくるシーン）。その演出と見せ方もベタではありましたが、あの薬師丸ひろ子（妻役）の表情と豊川悦司との絶妙な掛け合いを見せられると、ね。
中盤以降は、「え！？そういうことなの？」みたいな事柄が２つほどあって（ネタバレになるので詳しくは書きませんが）、そういった意味でも、エンタメとして観やすいです。
が、話の展開、そして何よりも場面の移り変わりが少なく、ほとんどは主役夫婦の家を舞台にして、登場人物が入れ替わり立ち代わりに出入りする様子が、なんとなく映画を観ているというよりも演劇を観ている感覚になったのは私だけでしょうか？（映像の撮り方もなんとなく舞台っぽく）。
あと、水川あさみと濱田岳の恋愛模様は、正直あまり惹かれるものがなく、いや、むしろ少しチープに感じてしまい、その分、豊川悦司と薬師丸ひろ子の夫婦の関係性を深堀りして欲しかった。
が、その個人的マイナス面を補って余りある石橋蓮司のオカマおじさん。このキャラクターも、あとで思わぬ驚きがあるわけですが、さすがの演技、そしてキャラ設定そのものが最高で、本作最高のスパイスになっていたことは間違いないでしょう。
ベタベタ、とちょっと辛口表現のレビューになりましたが、切なく締め付けられる部分と温かさ、そして適度なコメディ性もある安定した感動ヒューマンドラマです。
