帽子

両親の恨みを晴らすためパリから故郷のニューオリンズへと戻ってきた奔放な女性と、父の仇を討とうとするカウボーイとの恋を描いたロマンスドラマ

お金

身分の違いと共通点

2人の関係性
ロマンスの行方が楽しめます

笑いもあり

世話人が印象的
イングリッド・バーグマンの演技が良かったです

往年のハリウッド女優祭り💕
イングリッド・バーグマン10本目

前半の舞台はルイジアナ州ニューオリンズです。主人公のクリオ(イングリッド・バーグマン)の実家があります。
クリオの母は未婚の母で、訳あってクリオとともにパリに移住していましたが、母の死後クリオはある目的があって帰郷します。

後半の舞台はニューヨーク州サラトガです。もう１人の主要人物クリント(ゲイリー・クーパー)は、ある目的でサラトガでひと仕事目論んでいます。

この両地でのストーリーが相互にあまり関わりが無く、別物の話をそれぞれ中途半端に一本の映画に押し込めたような形になっています。
そこはあまり評判が良くないようです。
確かにどちらの話も背景や顛末が分かりづらかったように思いました。

でもクリオさん(と言うよりイングリッド・バーグマンさん)は、復讐とか言ってるわりにはなんかケロッとしていて好感が持てました。
また、アカデミー助演女優賞にノミネートされたブラックフェイスのメイドと、小さいおじさんの執事もナイスでした。

✔🔸『サラトガ本線』(3.2p)　及び🔸『オールザキングスメン』(3.2p)　

　シネマヴェーラは、様々な意欲的出版物と盛り上げ合うような企画が多いが、自らが番組編成に係る事も普通の、蓮實重彦さんが大きな柱になってるのは、贔屓とか大樹の陰的発想ではなく、祭り的盛り上げには正しい選び方だと思う。今回のシーゲル特集は、蓮實さんがフォード本の前に刊行した物の、論考の中心に『殺し屋ネルソン』を置いてたからか。かえってその定番性に、シーゲルと縁の薄そうな(実際はスタッフとして参加)、大スター共演大作や、『~ｹｰﾝ』的な画面とテーマの大上段作が、華やかに思えた。
　　『誰が~』の続編的にもなり得る『ｻﾗﾄｶﾞ~』だが、深刻さはなく、最初からバーグマンとその従者のメイクが少し笑える程に大袈裟な、意気と腹芸と、素っ頓狂通過の、手応え充分大型喜劇の談。パリから生地ニューオリンズに、亡母の復讐と復権の一念、仏侯爵夫人を装って帰還の遺児の、大胆さと空回り行き来。誤解と企みで母を追放した嫁ぎ先名士一族を金や誇りで、揺さぶり·怯ませて、母の名誉回復を果たす前半。後半は東部に歩を進め、経済の要衝となるだろう鉄道の社主を籠絡、自身の野望へ。これを駅ごとに攻め落とす、囲む大鉄道会社の横槍。ヒロインの正体を見破るやり手策士老女と同調、互いに意識し合ってるも正直になれない、追って来た西部の牧場主の、私設軍的なものでの駅取返しで、反撃勝利。彼は重傷を負っ(た演技)で彼女の心も獲得する。
　じつは決して大作でもなく、画調も厳しくなくセットも精密に組込んでない甘さもあるが、前半の仰俯瞰カメラの風格とミステリアス味付け、フォロー移動の強さが完全カバーし、終盤の大手鉄道会社の占拠駅·衝突狙い機関車への闘い挑みでの、次々飛び降り(入り込み)や格闘アクション·大惨事の、ノリいい途切れ無しモンタージュ·スクリーンプロセス·ミニチュアの掛け合わせ力は満腹以上をもたらす。止めは大芝居のカメラへの目配せ。
------------------—--------------—--------------
　『ｵｰﾙ~』は、農村出の無学な男が教師を妻とした事から、勉学に目覚め刺激され、弁護士資格取りに向う一方、元より持ってた社会の抑圧·搾取への怒りを人々にブラフ無く丁寧に呼びかけ、政治にも参加してゆくが、当該地元民とその直結代表者は僅かに離れただけでも·よそ者を最終的に受け付けないと纏まりで括られてて、それを打ち破る話の面白さや余録も不足している。しかしその姿勢は確実に社会に伝わり、(作品)語り手の取材記者を惹きつけ、懇意になってゆく。彼に州知事選に担ぎ出される話が生まれ、入り込むが、別候補を勝たせる為の、対立候補の票割り擁立と分かる。絶望·ヤケの彼は酔っ払い原稿無しの思う侭をぶつけ、好評を博す。接戦で負けるも、彼は‘戦い方’の面白さに目醒めたようだ。　
　パンフォ一カス的シャープ画面、さり気に縦の構図と組立、それ以上様々要素集積、ナレーションにもよるスピード、移動の懐ろ、ジャーナリズムやメディアの魔力取り込み、キャラ毎生立ちと変容きっかけ、語り演説と弾力の換気力。鮮やかさは『~ｹｰﾝ』に劣らない。
　が、それからは、記者失職で接触ない空白4年、再会スタッフ化、知事当選、その裏の敵と裏取引·反対運動弾圧·汚職、ハッタリと作り事の呼びかけと世論対峙と操作、記者の恩師の元名判事や近しい恋人やその兄の医師への利用蹂躙とトラブル、と表面刺激にシフトして、内からは来なくなる。空白の４時間を細かく知りたいと思わせ探らせるがポイントか。
　劇場初公開の時の、旧作とは思えない話題ぶりを憶えてるが、当時はまだ(16ミリ)『ハスラー』くらいしか観てなかったので、パスし、その侭今日まできてしまっていた。