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ドッペルゲンガーのmimagordonのレビュー・感想・評価

ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)
5.0
いやぁめちゃくちゃ面白かった。感覚としては、『パラサイト 半地下の家族』や『ロック、ストック&トゥー・スモーキン・バレルズ』を彷彿とさせる、思わぬ方向にあれよあれよと転がっていくスリル。しかし冒頭「ドッペルゲンガーと遭遇したら死ぬ」という、芥川から受け継がれた前提と恐怖描写であたかも二面性の物語であるようにミスリードしているところが面白い。一人の人間がもつ側面は周りや本人が思う以上に多面的で、それらを認識してしまったときその人はどういう葛藤をしどういう選択をするのか。それをホラー、ミステリ、コメディの要素を絶妙にブレンドしながら軽快に描写する。後半ゲシュタルト崩壊のように一個人の人間性がバラバラになり、「ドッペルゲンガー」の前提を壊して多面性が脱再構築されていく様は、内容のエグさに反して爽快としか言いようがない。役所広司の熱演も見事。大傑作。
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