Ginny

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのGinnyのレビュー・感想・評価

3.8
ハルヒのエンドレスエイトかと思ったらエッシャーの騙し絵みたいになって、今度は冷たい校舎の時は止まるみたいな?と色んなものが思い浮かんだ。

有名な騙し絵のエッセンスを入れつつ高度な脚本、アニメーション展開をして後世の創作に大きな影響を与えたんだな。

うる星やつら2022版を見て存分に楽しんだけれどオリジナルの強さを実感した映画となった。
古川登志夫さんのあたるが良すぎる。平野文さんのラムちゃんが可愛すぎる。
なんって素晴らしい演技なのか。耳が幸せ。
メガネがいい声だな〜と思ってたら千葉繁さん。面堂の声、神谷さんだったんだ…。
びっくり。すんごいな。
白いワンピースの女の子の声、島本須美さんみたいな雰囲気あるなと思ってたらまさかのビンゴ。

うる星やつらの、モブ?がモブじゃない、脇役が脇役なりに抜群の存在感があるところが好き。

私は側から見るとかなり笑いのハードルが低いみたいですが笑えるのと笑えないのは結構分かれてて、無理して笑わそうとしたり笑わそうとしてる人が緊張してると見てられなくなる。
うる星やつらのギャグは、想像しないタイミングで弩級のものがぶっ飛んでくるので声出して笑える。突き抜けたユーモアセンス。

キャラデザ、キャラの性格、特徴がしっかり構築されているから、内容自体はフィクションあるあるにしても風呂敷の広げ方、受け方、閉じ方、全部がうる星やつらならではになるから凄い。
高橋留美子先生つくづく稀代のキャラメーカーだなと。

今のアニメーション技術より古い手描きの時代でも動きも画角も色表現とかも全部イカしてて、人間外の技術の発展も素晴らしいけど人の手が想像力を駆使して作り上げたものの威力も凄いんだなとしみじみ思わされた。
うる星やつらの時代設定が古いと言うのもあるかもしれないけれどやはり新しい絵柄より、オリジナルの画風がうる星やつらの雰囲気に合ってるなー。
あと、やっぱりどうしても声優さんがオリジナルの方がいい。

昔も声優さんのアイドル人気はあったのかもしれないですが(何も知らない)、リメイク版は声優さんのアイドル人気に便乗し過ぎてる感があり、モヤモヤ。
本作はラムちゃんの可愛さももちろんあるけれど、それ全面で勝負せず、画面を彩らないはずの男脇キャラの存在感がうまく作用していて良かった。そういう、内容に誠実な作りが好感持てる。
キャラ人気に胡座をかかない。

大それた雰囲気が出ると、すぐおもろくだらない方に軌道修正してくれるところがまた好き。ありおりはべりいまそかり。
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