アキヒロ

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのアキヒロのレビュー・感想・評価

4.0
面白い^^
だけど、高橋留美子先生はこの映画見て激怒したらしい…笑

そもそも「毎日同じことが繰り返されている」というのは、
『うる星やつら』の漫画批判、ひいては日本漫画批判に通じています。
原作の『うる星やつら』は毎話ラムとあたるを中心としたギャグストーリーが展開され、
その中でキャラクターは年を取らない、成長しない、同じようなドタバタ劇が"えんえんと繰り返されます"…

押井守はそれを皮肉ってこんなストーリーを書きました。
キャラクターたちがえんえんと繰り返される日常に気づき、俯瞰してみるとあたるの家が中心として世界が回り、都合よく水道も電気も通っているという"メタ・ストーリー"。
つまり、「『うる星やつら』なんて毎回似たようなストーリーばっかりじゃん」というわけ。
最後のセリフで、ラムとあたるのドタバタを見ていた男二人が言います。
「おい、またやってるぜあの二人」
「全くあの二人には進歩とか成長とか、からっきし無いからなぁ」
これは読者、視聴者のある種のマイナス面の代弁でもあります。
そこに押井の「悪意」が感じられます。(高橋留美子の才能への嫉妬…と言ってもいいかも)

タイトルも、なんてったって『ビューティフルドリーマー』ですからね。("美しい"夢を見る者……なんて思い切り皮肉です)
「夢邪鬼(むじゃき)」も「無邪気」と同音であるのも偶然ではない気がします。
瑠美子先生が怒るのも分かります。
しかし、そこにフォーカスした押井守の痛烈な指摘にも、またうなづけるんです。

この話の中にはそういう「繰り返される日常」という部分に、毎日同じ電車に乗り、同じ会社に行き、同じ家に帰り、同じベッドに眠る…という不思議と"この映画と同じ状況に置かれている自分"というものに"気持ちがノってしまう"んですよね。。。

結局、「夢から覚めさせてほしい」といったあたるが覚めた現実にも「夢邪鬼」がいて、最後にフッと笑うわけです。
あたるのいる世界というのは「高橋留美子」という神が描いた「夢物語」にすぎないのだと……。
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