おなじみ『うる星やつら』の面々による、終わらない学園祭前日のお話です。
思い出の中でホラー映画に分類されていた本作。改めて見ると、なるほどこういう話だったのかと納得する一方で、やはりしっかり怖い。
もちろん夢ならではの不条理さや、怪談ネタのせいもありますが、なにより、お祭り前夜ならではの「心がざわつく感覚」がずっと続くところが良いのですね。それがワクワク感と同時に不安を呼んで、ハレの日の過剰さと狂気を体験させてくれます。
日常の象徴たる母ちゃんのチャーハンが山盛りなところなど地味に鳥肌が立ちました。
終戦直後を思わせる焼け野原から始まり、物が過剰にあふれるコンビニエンスストアへと至る流れには高度経済成長期にいる日本人の戸惑いのような物も感じました。
インフラは整い、飯も好きなだけ食べられるようになり、ラジカセやテレビ、娯楽コンテンツ、欲しい物はなんでも手に入るようになった。しかし我々は本当にこれで幸せなのか。もしかしから、ぜんぶ悪い夢なのではないのかと。