ダイナ

マンダレイのダイナのレビュー・感想・評価

マンダレイ(2005年製作の映画)
4.3
ドッグヴィルの続編。セット内での舞台劇のような演出、コミュニティの中で思惑交差しながらアメリカ社会の闇を浮き彫りにするストーリー、前作を経て心境に変化が生じたキャラがどう動くか…という実験的な試み、魅力的な特徴を継ぎながら一癖も二癖もある展開でとても見応えアリ。キャストの変更はやや残念ではあるものの新規キャストの演技も良い。

前作ではエゴ、道徳感がテーマとして描かれていましたが、本作では「奴隷制度」を据えています。黒人奴隷を扱っておりアメリカ特有のテーマに思えますが、「上の立場からの抑制」「パターン分けする管理社会」「主義の裏目」等の描写、万国に共通した普遍的な問題として観ることもできそうです。前作が過激すぎて本作のシミュレーション実験ドラマ色濃い内容はマイルドに落ち着いているように見えますがこれはこれで面白かったです。

機会の土地アメリカ三部作。最終部のテーマは何になるのでしょうか「Wasington」という仮題から本作と同じく政治色が強くなる?そもそも監督が今後撮影するのか否か。音沙汰のない現状に打ちひしがれそうです。グレースの将来が気になる自分としては小説として発表でもこの際構いませんよ…。
ダイナ

ダイナ