クリーム

マンダレイのクリームのレビュー・感想・評価

マンダレイ(2005年製作の映画)
3.9
アメリカ3部作の第1章「ドッグヴィル」の続編ですが、グレース役はブライス·ダラス·ハワードに変わっています。第3章「ワシントン」は無期限公開延期となっています。前半、我慢を強いられるけど、終盤はやっぱりトリアーだった。エンドロールの悪意たっぷりの映像だけでも観る価値あるかも。私は嫌いじゃないです。

ドッグヴィルを後にしたグレースは、父と共に南部の“マンダレイ”という大農園にたどり着く。そこでは70年以上も前に廃止された奴隷制度が存在していた。グレースは黒人達を解放し、彼らの権利と民主主義を教育しなければならないとの使命感に駆り立てられ、父と別れここに残る事にします。父は、ギャング数名と銃を残し去って行きました。



ネタバレ ↓



マンダレイはママと呼ばれる白人の老婦人により、支配されていましたが、余命がなく、彼女はルールを書いたノートをグレイスに託し、亡くなった。
グレースは黒人達に、自由を与え、新たなルールを作り、畑を全員で再興させます。
収穫期まで、食料が少なく節約していた村人達。ある日、幼い少女クレアが病気になり、彼女にだけ食事を沢山与えていたが、亡くなってしまった。その後、ウィルマという老婆がクレアの食べ物を食べていたと発覚。話し合いの結果、ウィルマを死刑にする事になります。グレースは、彼女に結果は無罪だと嘘を言い、寝かしつけ頭に銃弾を放った。
収穫期でようやく売上金が届き、祝う村人達。ティモシーに性的魅力を感じていたグレースは、体を求められ、応じます。そして、外で悲鳴が上がり、グレースの付き人のギャング達が、売上金を奪おうと暴動を起こし、金が奪われ、村人が数人死亡しました。
犯人は、ギャングとティモシーで、グレースは彼をムチ打ちの刑に処した。
この日、グレースはマンダレイを去るつもりだった。事前に父から連絡が入り、日にちと時間を指定され、その時間から15分待つと言う事だった。
グレースを迎えに来た父は、遠くでムチを放つ娘の姿を見て、自分の血を継ぎ権力を行使していると勘違いし、そのまま帰ってしまいます。
村人達は、グレースを新たなママにすると多数決で決めたと言いい、永遠に村に縛りつけようとしますが、逃げるグレース、追ってくる村人と言うシーンで終わります。
そして、エンドロールで、白人による黒人暴行の痛ましい姿やブッシュ大統領、KKK、ロドニーキング事件、ハーケンクロイツ、キング牧師、マルコムX等の映像が皮肉たっぷりに流れます。

前半は、グレースの偽善者ぶりにツマンナイなあと観てましたが、トリアー監督が、そのまま終わる訳はありませんでした。後半、少女が亡くなった辺りから、面白かったです。村人達は、自ら望んで奴隷として生きていたのに偽善者グレースにただ掻き回されました。そして、1人だけ逃げ出そうとした彼女。そんな事させるか!と彼女が作ったルールで縛りつけ様とする村人達。この結末が、現在のアメリカとリンクし、究極な皮肉に見えました。ラストの音楽も映像も度ギツくて、更に驚かされます。どちらが好きかと言われたら「ドッグヴィル」だけど、これも中々好戦的な作品でお見事でした。
クリーム

クリーム