イチロヲ

背徳夫人の欲情のイチロヲのレビュー・感想・評価

背徳夫人の欲情(1980年製作の映画)
4.0
妻(志麻いづみ)の放蕩ぶりに振り回されている夫(山田克朗)が、妻の不倫相手となるチンピラ(中田譲治)を自宅に招き入れることにより、ショック療法を試みる。女のしたたかさに翻弄される男たちを描写している、日活ロマンポルノ。

主人公夫人は「誰にも束縛されない、本能至上主義の女性像」をもった人物として登場。父権主義的な束縛とその強制力から離れて、能動的に行動することをアイデンティティとしている。

妻の不倫を察している夫が静かに牽制しつつ、腹の探り合い、化かし合いを繰り広げていく。それが、気持ち悪くもあり、滑稽でもある。豪邸に住み込んでいるメイド(八城夏子)が、夫婦生活を俯瞰して眺める立ち位置になっているところが面白い。

夫が不倫相手を招聘する展開は、スリルのある恋愛を楽しんでいる妻から、スリルを剥ぎ取ってしまう行為とも捉えられる。不倫相手との内緒の電話をその場でオウム返しするところも、意図的な行為だと脳内補完するのがオススメ。
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