みかんぼうや

ローズマリーの赤ちゃんのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)
4.0
信心深き疑心暗鬼。この物語は現実か妄想か?物語が進むにつれ、主人公ローズマリーの視点と心境に観ている者がシンクロさせられ引きずり込まれていくような、なんとも巧みな脚本と演出が面白い巨匠ロマン・ポランスキー監督のサスペンス。

実はポランスキー監督には若干苦手意識があり、彼の作品を自然と避けていた。学生時代に劇場で観た「戦場のピアニスト」が話題になっていたほど刺さらず(色々な知識と経験を得た今観たらだいぶ違う感想になりそうだが)、比較的最近観た彼の最高傑作のひとつと言われる「チャイナタウン」もラストシーン以外ほとんど覚えていないほど作品序盤から集中力を保てない状態で、全体的にダラダラした印象が残っている。

しかし本作は違った。オープニングから意味深な人物や事象と時折挿し込まれる幻覚のようなシーンは、自分の知らないところで“何か”が動き続けているような不安感、それがいつ明るみになるか分からない緊張感を生み出す。それは終始絶えることなく、作品を観ている自分自身が疑心暗鬼になる感覚を持ち始める。決して派手な演出があるわけではないが、最後まで一切集中力が途切れることなく作品に没入した中での、あのラストに思わずゾクゾクとした感覚を味わう。

ついに巨匠ポランスキー監督の面白さを心から感じられた作品。プライベートでは色々と問題が多そうな人物ではあるが、本作で彼の作品に対する苦手意識は一気に払拭でき、早速U-NEXTのマイリストに彼の作品を大量追加。

最近はマイリストを消化しようと新しい作品の登録を控えているつもりだったが、まだまだ増殖する日々。少なく見積もってもあと3年はU-NEXT退会できません。大好きな格闘技のコンテンツもかなり充実してきて(気づけば“格闘技”というカテゴリーがU-NEXTにできていた!)、最近は値上げが心配。お願いだから値上げしないでください。
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