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ラブ・ザ・ドッグ 犬依存症の女の一のレビュー・感想・評価

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原題『イヤー・オブ・ザ・ドッグ』。マイク・ホワイト初監督作品。彼がこれ以前に脚本・主演した『チャック&バック』と、やっぱりかなり通じるものがある。コメディとしてはあまりにグロテスクでフリーキーでシリアスなのだ。愛するペットを亡くすという誰もが共感しうる悲しみを出発点に、物語は次第に常軌を逸していく。終盤に画面に映っている女は奇人以外の何者でもない。が、それも“本当の人生”を発見し選びとる旅の道程であったことはエンディングでの彼女の晴れやかな表情を見ればわかる。この映画はなんとも言えない幸と不幸のグラデーションの上をなんとも言えないステップで跳ねていく。アレクサンダー・ペインにもトッド・ソロンズにもならないマイク・ホワイト(フェイバリット映画は『地獄の逃避行』らしい)。主演のモリー・シャノンに当て書きした脚本だが、実はシャノンが犬アレルギー(猫も)だったという…。そしてラストに流れるのはキャット(!)・スティーヴンスの『I Love My Dog』である…。
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