せーや

クィーンのせーやのレビュー・感想・評価

クィーン(2006年製作の映画)
3.8
英国王室祭 絶賛開催中!
第3弾は「クイーン」だ!

1997年8月31日。
英国元皇太子妃ダイアナがパリで交通事故死。
イギリスだけでなく世界中が悲しみに包まれる中
エリザベス女王は、バッキンガム宮殿にはいなかった。

本日90歳を迎えられた女王エリザベス2世。
90歳にして64年の在位。
英国史上最も偉大な女王であり
世界中から愛されている。

そんな女王が、英国王室が
最も批判を浴びた時代。

地雷除去活動やエイズ啓発運動などで
世界中を飛び回って王室に新たな風を吹き込んだ
「国民のプリンセス」ダイアナ妃。

彼女とチャールズの離婚による様々なスキャンダル。
そんな不遇の時代、王室の危機ともいえる時代に
エリザベス女王は、果敢に立ち向かった。

なぜエリザベス女王が、ここまで愛されるのか。
あのウィリアム王子よりも絶大な人気を誇る彼女。
彼女の何が国民を動かすのか。
それが、この映画を見ているとわかってきます。

王室は「現代化」されなければならないという
首相トニー・ブレアの言葉。
それはエリザベス女王を悩ませた。

国民のために王室を変えるべきか
それとも威厳を保つべきか。

ダイアナ元妃の死をきっかけに
「王室から去った女性を国葬にすべきか?」
という議論が繰り返される。
そして王室はどのような態度をとるべきか。

そもそも伝統と格式を重んじる王室。
しかしエリザベス女王は
王とは国民に愛される存在でなければならない
そして国民に仕える存在でなければならないと信じていた。

王室は国民のもの。
時代に合わせて変化しなければならない。
エリザベス女王のとった行動は
結果的に、人々の心を動かした。

きっと女王がこんなにも愛されるのは
王室にはない柔軟性と、ダイアナ妃にはない威厳、
その両方を備えた存在だからなんだろう。

特に女王と宮殿に集まった人々とのやりとりが
女王に対する人々の思いを表しているようで。
あんなに非難されたのに、いざ彼女に出会うと
あんな子共ですら、女王に好意を抱く。

特に、序盤では王室の在り方に疑問を抱えていたブレア首相が
女王と何度も会話を重ねていくうちに、
女王の勇気ある行動、そしてその偉大さに気付かされ
最後には全く違う意見を持った人物になっているのが印象的。
人の心を変えてしまう、そんな偉大な女王。

日本と同じ体制をとっている国ではあるけれど
その内実は全く違うものだった。
英国の王室と日本の皇室は、同じ敬愛される存在ではあるけれど
そのあり方というものは、全く違う。
そもそも日本では、きっとこのような映画は撮れないだろうし。
そこにも英国王室の柔軟性というか、時代に合わせた王室づくりがみられる。

長きにわたりイギリスの母として君臨したエリザベス女王。
その威厳と愛情と人間性を誰もが愛したけれど
次代のチャールズ皇太子は大丈夫なのかしら。
映画内でもかなりダメ息子感が出てたけれど。
なんかチャールズが王になったら王制廃止されそう。
チャールズとばしてウィリアムを王子にした方がいいんじゃないか(笑)。

英国王室の中身がわかる作品。
お勉強にもとても役立ちます。
せーや

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