まほろば

ドクトル・ジバゴのまほろばのネタバレレビュー・内容・結末

ドクトル・ジバゴ(1965年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

2度目の鑑賞。
主演のオマー・シャリフとデヴィッド・リーン監督の奥様、ロッド・スタイガーの音声解説が素晴らしかった!みんなこの映画に対する思い入れが強すぎて語り尽くせない様子が伝わってくるのも素敵でした。

2度目見てみるとロッド・スタイガー演じるコマロフスキーにとても感情移入している自分がいて驚いた。

不器用ながらもラーラを愛していて、最後の方で自分の弱さ醜さをさらけ出しながら、何とかして愛する女性を救おうと見栄を捨てて、がむしゃらになっている姿に心を打たれた。

一方、ラーラとジバゴは、ただただ綺麗事で突き進もうとして、現実を生き抜く術にたけているジバゴの兄とコマロフスキーが何とかしてくれることを前提にして動いていると感じて共感できなかった。自分たちだけはきれいな自分でありたいみたいな姿勢がずるいと思った。2人ともモラルに反した行いをしている者同士にもかかわらず、そこから目を背けようとしている未熟さを感じた。

ラーラは意地っ張りでその瞬間、瞬間に対し、条件反射的に反発して即物的に行動する女性で最後まで成長していないというか、自分の信念みたいなものが感じられず、共感できなかった。

ロッド・スタイガーの音声解説で、この映画のテーマはある意味、愛されている女性の力強さだと言っていて、さすが名優は鋭い感性の持ち主だと感動した。最後、2人の男性がラーラのために命の危険を犯しているのに、自身はそのことを全く自覚していないと。たしかに、でもそこがいいと思った。

アレック・ギネスの神秘的かつ不気味な佇まいも最高、この俳優の代わりになる人はいないと思う。

そしてジバゴの奥様のお父さん(ラルフ・リチャードソン)は何度見ても自分が目指したいと思える理想の人物なのであった!

知性に裏打ちされたユーモアと人間的な温かみ、気品があって、どんな境遇にあっても幸せを感じながら生きられる人物なのである。
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