歌子

小さな赤い花の歌子のレビュー・感想・評価

小さな赤い花(2006年製作の映画)
3.7
全寮制の幼稚園に入れられてしまった槍槍は、
なかなか幼稚園の生活になじめない。というのも、この幼稚園の教育方針として、言いつけを守った子には、紙で出来た赤い花を貰うのだが、槍槍はいつまでたってもその赤い花を貰う事が出来ずにいるからだ。
小さな赤いはなは、子供たちの行動評価に当たるわけで、
子どもたちは、いつしか評価される事に陶酔しきっていき
他者との差別化に奔走しはじめるのだった。
そんななか、たった4歳の槍槍は、個よりも共同体を優先させるありかたに反発を覚える。(まあそこまで明確な意思を持って反発してるんじゃないだろうけども・・・・)

子どもの表情の豊かさ、細やかな内面描写は素晴らしい完成度。
国家批判の比喩的表現なんだろうけれど、むしろ子どもたちの自由な動きを眺めているだけでも十分価値のある作品。

特に、夢うつつの槍槍が、お漏らしをしてしまう前兆としての夢の中で、モンスター化した先生たちに囲まれ、笑い顔から泣き顔に移行する際の表情が印象的である。これが芝居で可能なものなんだろうか?
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