LuluY

ジュラシック・パークのLuluYのレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)
5.0
どこを取っても素晴らしい出来の映画。2015年の今見てもこの22年前の映画の恐竜たちの動きや映像に違和感や不自然さはなく感心させられる。
おそらくその理由は、この映画見せるのもうまいが隠すのもうまい。例えばオープニングシーンで恐竜の姿は見せず音と他のものの動きでその力を見せつけた。ラプトルのケージを見学するシーンでも牛がケージのなかに降ろされ、食べられる姿は直接見せず、音と木の葉が激しく動くのとアクターの表情で観客にラプトルの恐ろしさを想像させた。実際残虐と呼べるようなシーンは弁護士のジェナロが食べられるシーンぐらいで、サミュエルLジャクソン演じるアーノルドが殺されたのは、エリーが残された腕を見つけて発覚する。MPAAのセンサーにかからないように、なおかつファミリー向け映画としてうまく隠しつつ観客を魅せている。
キャラクターのdevelopmentも上手くそれぞれに愛着をわかせるように短いシーンで表現している。例えば、主人公のアランは、発掘現場シーンでその知識と才能を見せ、ヘリコプターでジュラシックパークに到着するシーンではシートベルトを上手く装着できないところで彼の人間味を言葉ではなく行動で表現し観客に親近感をもたせるようにしている。
人間のキャラクターだけでなく恐竜たちもシネマトグラフィ的なシーンがたくさんある。その一つがラプトルがセキュリティルームに侵入してくるクライマックスの中のショット。コンピューター画面がラプトルの体に反射して映し出されているショットがある。このショットはラプトルがわたしたちが想像していたただの「恐竜」ではなく知性を持ち合わせた「知的動物」であることを表現している。
娯楽としても大成功してるがこの映画には映画学の教科書に載るようなエッセンスがたくさんつまっている。
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