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丹下左膳 こけ猿の壺のニューランドのレビュー・感想・評価

丹下左膳 こけ猿の壺(1954年製作の映画)
3.4
☑️『丹下左膳 こけ猿の壺』(3.4p)及び『大人は分らない 青春白書』(2.8p)▶️▶️
名監督といわれる人々は、処女作から、傑作·名作を物してる、というのが持論だが(以前は精進職人派と言われてたフォードでも、38年前か当時保存の最古作『誉れの名手』を観て、既にして『駅馬車』+『捜索者』先取り実現に驚いたものだ)、例外もあるを今更ながら知る。
『~こけ猿』。数年前の、FCの三隅作家の特集に入ってたか、観てないが。自覚はないが何処かでコロナワクチン副反応が出てる筈と、身体のチェックに出向く。後、チラシを読むと、山中の戦前作のリメイクだという。40数年前に観たが、伊丹の諸作と同じく、時代劇の規則を笑い⋅取っ払った快作だった。脱ストーリーのオリジナルに比べ、今回は縛りが多く、後年の三隅作品のしがらみを削り⋅そこから飛躍スタイル主体⋅純粋内外面一体に比べ、重い。よくはやってるが。
オリジナルの記憶は薄いが、 そもそも一見弱小藩の謀反封じの為の、日光普請申し付け⋅金吐き出させ等の政治的切迫感はあったか(経緯も見張り、無理とわかると幕府負担策へ)? 隠し場の秘密かくしてる壺を、江戸での大道場婿入り引き出物で藩主弟に渡したにしたと分かり戻す手筈も、オリジナルと違い未だ独身の弟(左膳も独身)に対し、敵意の差配力士大の師範代が立ちふさがり、壺を奪う。その間に入ってた女泥棒の「表返り」や、左膳や少年の協力で、道場内反駁派退治に。
横移動や縦移動の確実浮遊感、Lの(視界)俯瞰め⋅仰角めや縦めの図の決まり方、アップの掴む手や関心物等の押さえかた、縦図とトゥショット組立の安定、殺陣の丁寧さや雷光取り込み、逃げと停まりのカット積みの流動感、等しっかり創り込んでるが、性懲りもなく因縁の相手と何回も鉢合わせ⋅瀕死多発と断末魔の一方上手く助かりも、等スキッとはしない。
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『大人~』。須川のデビュー作は、自らと森谷の協力の脚本が特に酷い。役者が役柄を掴めず、他人の科白聞いて画面の端にいる時など、何をしたらいいのか、困ってモジモジしてるのがよく分かる。特に夏木と白川。永年自己を押さえてやっと今の位置を獲得の親の世代、彼らが封じ込めたい、先の見えない時代·今をガムシャラに自己表現、との子の世代。閣僚のかかった政治家の父·女性地位向上の家裁絡み評論家の母と、ジャズ世代でリサイタルと恋成就へ向かう·バンドを率いる大学生の息子。バンドの歌手の恋人の友人を、父の隠し子·母の相談相手の娘と知り、対処を考える。バンド仲間·愚連隊や女興行師·マスコミ·警察·きょうだいらが絡むが、全くキナ臭くならない、綺麗事の茶番続き。似た題材の他社作に比べても白々しい。
ワイプ·画面を俯瞰からティルトして逆さ図·傾き回る画面·横めへや寄ってく·演奏や格闘丁寧に·実写やスクリーンプロセスのバイクや車疾走感·懐ろと格あるどんでんや45~90°変、俯瞰図退きや足元ローフォロー、色々使っても、タッチまでかなり硬直。
只、新旧個性派名優らてんこ盛りで、自転車こぐ足を横移動しての団と白川のふくらはぎの太さの差異(当時としては2人ともやや大柄でも、コケティッシュ団は実は華奢で、清潔白川は骨太)、殆ど同年輩だろうに·もうマダム風·草笛と万年青年·佐原のこの後何十年もそのままを既に、等興味深い。
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