滝和也

戦火のかなたの滝和也のレビュー・感想・評価

戦火のかなた(1946年製作の映画)
3.7
無防備都市と対をなすロッセリーニのイタリアン・ネオリアリズモの1作です。

映画史の1pを飾る戦争を実際の映像を交えながら、ドキュメンタリータッチで描く作品です。連合軍がイタリア南部から上陸し、北上する間に民衆に起こるドラマを6つのオムニバスにして語っていきます。

戦後直ぐに作成されているため、瓦礫の都市や戦車はホンモノ。リアル。
痛みが伝わってきます。

各々のお話は、戦争の悲惨さを語っています。またタッチが違い、ドライなものからメロドラマ調のものまで幅広い視点で語られています。  

2話の連合軍黒人兵と子供のお話は戦後の貧困をストレートに表す作品。
3話は連合軍兵と女性の皮肉な出会いを。これも貧困が背景に。
4話のフィレンツェ解放の伊ゲリラのお話は美しい都市をバックにした対比が印象的です。
6話のドライな現実。この辺が心に残ります。

すごく面白いとは言えませんが、何か考えたいなと思った時に見て頂ければ幸いです。個人的には25年前に見た同監督の無防備都市のほうが刺さりました。ちなみにイングリッド・バーグマンはこの2作品を見て感動し、ロッセリーニ監督作品に出演、不倫の上、結婚。イサベル・ロッセリーニを産んでいます。
滝和也

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