ぞしま

戦火のかなたのぞしまのレビュー・感想・評価

戦火のかなた(1946年製作の映画)
4.5
ロッセリーニの戦争三部作の二作目。原題は"Paisa"。
〈戦火〉のイタリア諸都市を舞台とした6つのストーリーから成る。鑑賞後、〈かなた〉とは何だろうかとぼんやり考えてみたりした。そういえば、『無防備都市』も市井の人々たちが描かれていた。彼らは戦争の中心にはいないようだが、実は戦争の中心にいるのではないか。そんな思いが湧く。脱中心的な視座に根ざしながら、どこか〈遠く〉を眼ざすことによって、あぶり出されてくるものがある。それがじわりじわりと迫ってくる……。
描くことが困難でも、それは生活なのだ。

どの話も簡潔さの中に芯があり、すぐれた短編を読んでいるようだった。
個人的な好みを言えば1話目と2話目。特に2話目の友情、少年の吹くでたらめなブルースハープと、黒人の歌う調子の外れたno body knows trouble I've seen……この交歓は胸を打つものがあった。
ロマン色が強い作品だが、そういうのに自分は全く抗えないみたい。それはある程度分かっている。
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