しゅん

戦火のかなたのしゅんのレビュー・感想・評価

戦火のかなた(1946年製作の映画)
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『戦火のかなた』と『無防備都市』を観るとネオリアリズモがドラマを決して排斥していないことがよくわかる。ただ、ドラマチックな筋書きは解放的な救済につながるわけではなく、むしろより大きな現実の姿を直視させるような結果をもたらす。ライターの光もハーモニカも置き手紙も、そこに託した希望は全て潰える。すれ違ったままの男女、犬死にする兵士たちを目前にしたときの胸の痛みこそがリアル。救いはなくても愛はあるところがリアルなのだ。イタリア解放の直後に停滞感のフィーリングに満ちた映画を撮って未来への望みを託すロッセリーニはやはりただ者ではない。
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