弟二郎

戦火のかなたの弟二郎のレビュー・感想・評価

戦火のかなた(1946年製作の映画)
5.0
別格。国家の勝敗とは別次元で民衆の勝利を謳える伊特有の歴史的背景とロッセリーニの客観的人間愛が産んだ奇跡のバランス。それをさらに崇高たらしめる世の辛酸を舐めつくした人々の顔と自然光がもらたらす映像美。

『手錠のまゝの脱獄』に先立つこと14年。米国の良心として黒人兵を撮り、キリスト教とユダヤ教の軋轢をシニカルに笑う。示唆に富む6篇の挿話集。

戦争という正体不明のとてつもなく巨大な化け物が人々を飲み込んでゆく様。最前線を経験した民衆の目線。9.11以降、参事の描写が大きく変わり、それ以前の描写が陳腐に見え始めたあの頃の、クローバーフィールドや宇宙戦争に代表される米映画と同種の、その遥か先にあるリアル。
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