このレビューはネタバレを含みます
ロッセリーニの 戦火のイタリアンオムニバス
2009年10月13日 9時25分レビュー
1946年作、脚本フェデリコフェリーニ(他五人)、監督ロベルトロッセリーニ。
前作「無防備都市」の強烈な衝撃。
やっとこビデオで探して鑑賞。
どのエピソードにもフェリーニが絡んでいてヤハリ凄い脚本力。
アメリカ軍が欧州上陸し、ある砦に調査に出掛ける。
道案内の娘と兵士の言語の伝わらない者同士のドラマ。
酔った黒人兵士とイタリア悪戯子の触れ合い。
アメリカ兵の一夜の娼婦との思い出。
激戦地パルチザン部隊の場所に行く見ず知らずの男女のドラマ。
アメリカ兵と教会での宗教対立と恩恵。
ラスト川沿いのドイツ軍との死闘。
全6エピソードを飾る庶民的な戦争をロベルトロッセリーニは表現しています。
どのエピソードもいささか性急な面やデコボコした流れもありますが、戦後まもない製作時期にフェリーニとこんなドラマを撮っていた事に感動しました。
また、スパイクリー「セントアンナの奇跡」で見たパルチザン(欧州の市民抵抗軍隊のような組織?)
格好や風情が本作でみると本格的に見えてリアリティーが有り興味深かったです。
ロベルトロッセリーニの描く市民視点の「リアリズム」な戦争ドラマオムニバス。
ラストの川に浮かぶ波紋はまるで石を投げた後のような静かな痛々しい戦争の波紋のようでした。
大変面白かったです。
次作はリアリズム三部作最終章「ドイツ零年」です。