ポンコツ娘萌え萌え同盟

火の壁のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

火の壁(1959年製作の映画)
3.0
鑑賞前にシネマヴェーラ渋谷のアナウンスでも言ってたけど兎に角フィルムの劣化が激しい。染色なんか褪色して全体に赤みがかった状態なってる。全ての場面でフィルムが傷だらけだし、度々シーンが飛んでるかのような部分もある。だが、それでもバラの華は幾ら画面が赤みがかかっても一際赤いのが分かる。それに内容の全体像自体は掴めることができる。
実業家の佐沼と結婚した圭子。ただそこにある愛は有耶無耶。元カレの康二との再会この三人が阿蘇火山の火口に揃った時、三角関係物語の火蓋が切られる。物語自体はオーソドックス。更には若い青年のケンちゃんや菊千代も交えて

物語自体は個人的にノれなかったけど、ヒロイン兼主役の圭子を演じる高千穂ひづるが演じる心情が素晴らしい。電話越しの康二、圭子と佐沼が同じ部屋にいる場面で揺れる圭子の心が揺れる様から、とうとう物語を締めくくるか、それとも顛末に納得いかぬかのように大噴火する阿蘇火山。無生物の癖してこの映画の火山は安井昌二と高千穂ひづるのためにあるようだ。

余談だが、汽車に乗った菊千代を追いかけるケンちゃんの部分の映像が滅茶滅茶デヴィッド・リーンの『旅情』のパロっぽいのが微妙に記憶に残る。