LEONkei

女の都のLEONkeiのレビュー・感想・評価

女の都(1980年製作の映画)
4.0
人間は生物学的以外に於いて男と女に違いは全く無い。

何方が上で何方が下でもなく何方が優れているか劣っているかでもない、本質的には男女平等と言う概念こそ性別を精神的に分類化するには無意味なこと。

しかし人間が生き物である限り概念的には理解しても、雄と雌との関係は人間であっても…、いや人間だからこそ本能に惑わされ翻弄され、概念的平等は本能に最も簡単に崩れ去る。

そんな人間の男社会に耐えきれず遂に立ち上がった女達は、〈女の都〉をイタリアの片田舎に築き上げた。

その都に迷い込んだ中年男を滑稽で奇想天外なほど悍ましく、男とは女とはをフェリーニならではのコメディテイストで描く。

自分は男なので当然男目線で観るが、正しくこれは恐ろしいホラーでしかない。

女だけの都は下心有る男なら理想郷などと一瞬考えてしまう時点で既に男脳であって、実際は過激なフェミニスト集団の巣窟で男にとっては仮釈放の無い無期懲役の生き地獄。

何処からともなく聞こえる奇妙な囁き声や吐き気のする様な女達の薄ら笑い、今すぐ都から逃れたい気持ちは主人公だけじゃなく自分も同じだ。

地響きを鳴らす爆発寸前な女達の怒りの感情は力強く、女達の漲る熱意が溢れんばかりに躍動する映像に圧倒される。

衣装や巨大な撮影セットは素晴らしく異空間に迷い込む幻想的な人工美に感心し、登場する女性たちも相変わらずのフェリーニ好みで踏襲されている。

常識を越える行き過ぎたフェミニズムは論外だが、男達も反省と思考を改めなければいつか地獄へ堕とされるだろう。

例え自分好みの魅力的女性に誘惑されても、こんな都へは行きたくない..★,
LEONkei

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