一目惚れした相手を執拗に追跡する中年男が、男女の立場が逆転した女尊男卑の世界へと迷い込んでしまう。男憎しを拗らせたフェミニズム運動を滑稽譚のように描いている、エロティック・コメディ。
過激派のフェミニストがよく口にする「女だけの町を作りたい!」を題材に取り上げながら、フェリーニ自身の女性観を説いている作品。本作のマストロヤンニは「本人役」を素の状態でやりながら、メタ構造を作り上げていると捉えるのが妥当。
前半部は、男女逆転の社会をコミカルに演出していく展開。後半部は、性的欲求に忠実な人々との交流劇。秘宝館的な屋敷のアートーワークが面白く(日本モチーフのグッズも登場)、「地球は下半身主導で回っている」を示唆させる語り口が素晴らしい。
「女の都」というタイトルからは、長崎の「女の都(めのと)」を想起させられるが、個人的には「女に満たされた場所」という意味の、北海道「女満別(めまんべつ)」を推したい。