イワシ

どこまでもいこうのイワシのレビュー・感想・評価

どこまでもいこう(1999年製作の映画)
5.0
超絶大傑作。オールタイムベスト。鈴木雄作と水野真吾の身長差がまず素晴らしいし、性格の違いを冒頭のヤクルト盗難のアクションで見せるのも最高。箱から盗むか、箱ごと盗むか。ひたすらただ活劇たらんとし走りまくる前半と、不穏さが忍び寄り停滞する後半(でもショットはバチバチ)のメリハリも良い。

白眉は鈴木雄作と鈴木優也が団地から爆竹搭載の紙飛行機を飛ばす場面か。手放された紙飛行機が徐々に高度を下げながら爆竹の炸裂で一気に墜落するまでをロングで捉えているが、そのうちの一つが木に引っかかりいつまでも画面に残り続ける。あらゆるものがフレームを横切るなか、この残存は忘れ難い。

水野真吾と走りまくり暴れまくっていた鈴木雄作が、一人で駅を彷徨する場面も素晴らしい。背景に映る駅前広場は妙に明るく、それに比べて改札から駅の奥へ進む鈴木の顔にはずっと暗い影がかかっている。この暗さはさらに黒いものとして後の場面で鈴木の前に現れる。

クロースアップの顔がことごとく素晴らしい芳賀優里亜は事あるごとにに振り向いているが、ラストも例外ではない。鈴木雄作の隣から立ち上がり去っていくときに振り返るが、このときアクションつなぎで振り返る動きを二度繰り返している。編集筒井武文による意図的なつなぎ間違いか。
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