佐藤克巳

君と別れての佐藤克巳のレビュー・感想・評価

君と別れて(1933年製作の映画)
5.0
城戸四郎が「二人の小津は要らない」と言わしめた成瀬巳喜男監督の、日本サイレント映画最高峰の青春ラブロマンス。芸者母吉川満子は、不良の仲間入りした中学生息子磯野秋雄を改心させたい一心で、日頃磯野と仲の良い妹分水久保澄子に懇願する。水久保は、港町の故郷に磯野を誘い里帰り。呑んだくれ父河村黎吉と妹藤田陽子を芸者に身売りする話で口論となり、下には突貫小僧と赤ん坊がおり背に腹はかえられぬ現実。海岸で、磯野に駆け落ちを仄めかすと彼は同意した。一方吉川は、旦那とのもつれから殺傷事件を引き起こしアパートに寝たきり。二人が看病中、不良仲間が磯野を誘い出し街路で乱闘、水久保が割って入った所を刺し傷を負い入院。改心した磯野に水久保は、妹のため何処か遠くに身売りになると告白し、退院後、駅でお互いの永遠の愛を誓い別れの汽車に乗り込む。見送る磯野の頬には止まらぬ涙。
佐藤克巳

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