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シヴィリゼーションのnanaのレビュー・感想・評価

シヴィリゼーション(1916年製作の映画)
4.4
私的には「問題作」と言ってしまいたくなる内容だけど、反戦(の映像)表象としては原点に限りなく近い映画。
ま・じ・で、観に行って良かった。

"Civilization shows no mercy to the weak and undefended"
(鑑賞中にメモではないので多少の違いは御愛嬌)
題名のcivilizationが使われるのもここだけだし、この措辞が一番に印象に残ったかも。

上映された当初ものすごい反響で、同年の大統領選にもウッドロウ・ウィルソンの再選に大きく寄与したのだとか。
(のに、ご存知のように、同氏は翌年にはドイツに宣戦布告している)
(がしかし、では何が良かったのかと明言できないのも事実)

そもそも、2回の世界大戦を控えている1916年の「戦争の悲惨さ」に対する考え方は、まだまだぬるい。…当然ながら今の感覚とかなりのズレがある。の割に、かなり思い切った論理展開だから目から鱗。
かつ、映画にイエス・キリストが登場したのはなんと本作が初らしいが、いやはや、「それ…大丈夫なの」とヒヤヒヤしっぱなし
この脚色が同時代でもこき下ろされたらしいが、…。私は描写の仕方や強引な関連付けにも文句はあるけど、それ以上に、宗教的な教義を全面に使わないと反戦は説得力を持たないのか、少なくともそう読めてしまうことが残念


とはいえ、私が一番にそそられたのは、「名匠・小津安二郎に映画監督になる決意をかためさせた名作」というキャッチコピー。と、スタンリー・キューブリックとかにも影響を与えてたこと。
…作風には全く共通点を感じなかったけど、小学生だった安二郎君には何が一番刺さったんやろか
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