とり

ロード・オブ・ウォーのとりのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・ウォー(2005年製作の映画)
4.0
ニコラス・ケイジはイケメンではないし生え際も気になって仕方ないんですが、演技力というか存在感はバツグンですね。彼の醸し出すオーラはまさにスターの証って感じ。
ニコラス・ケイジがいれば微妙な出来の作品もたちまち味のある映画に早変わり!

思ってたより重くきつい映画でした。できれば戦闘態勢(体調)を完璧に整えてじっくり腰をすえて観たかったなぁ⋯ちょっともったいない観方をしてしまいました。とにかく疲れきった心と体には激しく嫌悪感のつきまとう映画となってしまって、逆に考えれば製作者の思惑通りのお客さんってことになったのかも。
とにかくここまで徹底した反戦映画だったとは露ほども思ってなくて、一人の武器商人のサクセスストーリー&ヒューマン系だと思いこんでました。開始後すぐにR15指定だったのも納得できました。

始まりの映像が凄く面白かった。弾丸視点っていうのか、生まれてから製造過程を経て売られてゆき最後に発射されその役目を終えるまでの映像。途中、箱からこぼれ落ちたり兵士に拾われて投げ戻されたり、変な表現ですがちょっとワクワク。その後全編に渡ってそのワクワクはこっぴどく打ち消されるわけですが。
その他にもヘビーな内容と上手くあいまってちょっとコミカルなシーンが何箇所か。でも全体の重さゆえに心から笑えない。ちょっと自虐的な笑いというか、このバランスの取り方が絶妙。

ヘビー、コミカル、メロドラマなどの場面が淡々と繰り返される、さざ波のような編集。ラストのオチは誰もが知ってる事実ではあるので、途中でもうちょっとその伏線を入れてもらいたかったかな。監督としての立場上あれ以上の突っ込みは無理だったんでしょうかね。唐突にあそこまで声高に叫ぶメッセージ性がちょっと個人的に説教臭く感じました。

今回チェーンマスター館で鑑賞しましたが、この映画は音響のいい劇場もしくは環境で観ることをオススメします。弾丸が横から後ろからいたるところから飛んできます。途上国での住民のざわめきなどもあちこちから聞こえてきます。ドキュメンタリー気分を満喫できること間違いなし!

有楽座(閉館)
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