ちろる

飛行士の妻のちろるのレビュー・感想・評価

飛行士の妻(1980年製作の映画)
3.9
雑に女を振る不倫男クリスチャンと、強がる不倫相手のアンヌ。
ここに参戦するのは、少しだけストーカー気質のある20歳の苦学生のフランソワ。
フランソワは、空気読めないので、嫌われるようなことをどんどんやってアンヌに避けられる。
趣味:彼女であることがアンヌを苛立たせるのにね・・・
カフェーで勉強してても深夜も働いてるし寝て身に入らず、頭の中アンヌのことだらけ。
そんな時、アンヌと居たクリスチャンが女といるところをみつけたフランソワは尾行を始める。

そして、尾行中のバスで知り合った15歳のリセエンヌのリュシーと仲良くなるフランソワ。
まだ15歳のリュシーの方が恋に関して上手で、アンヌとフランソワの関係をズバズバ言い当ててるのが楽しい。
悩み事も忘れて他愛もないことを話して時間が過ぎてくのが幸せなんだってことその時のフランソワは気がつかない。

フランソワとリュシーが楽しく話している時間を観ているのが一番幸せなのに・・・

一方、アンヌはどこかではっきり分かってる。
クリスチャンと居ても未来がないのとくらい。
壁に貼ったツーショットの写真。
アンヌの憂鬱。
押し寄せる悲しみを、避けていた恋人にぶつけてしまう弱さ、これが彼女の狡さで色気なのだろうけど、この2人きっと今は良くてもこれからまた上手くいかなくなる気がする。
まだ恋には浅くて、愚かな若者たちの恋愛模様。
時にクスッとさせられながら、エリック・ロメールの恋愛節を堪能できました。

ちなみに今泉監督の『街の上で』なんかは、構造としてこの作品をかなり意識していると思われ、この作品を観てロメール好きになった人は是非『街の上で』を観てみてほしいです。
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