スポック

ジョゼと虎と魚たちのスポックのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
5.0
大きな挫折を味わった事がない男子大学生が身障者で日常生活が不自由であるうえに、孤児院で幼少期を過ごした出生も生い立ちも産まれも未来にも大きな不幸を背負っている同い年くらいの不思議な魅力がいっぱいの女子に、良心とも同情とも正義感ともわからないまま恋愛に落ち入る。
社会人になり同棲を始めるが、いざ結婚の現実が迫って来ると二人の未来に背負い切れない重たさを感じて男子大学生は逃げ出してしまう。

身障者のジョゼは制限された環境の中で読書や料理などの知識欲を不便ながら精一杯に努力して、それなりに魅力的な女性に成長し、自分の障害を踏まえた上でも臆する事なく発言し行動できる聡明な人間に育っていった。
そしてある意味純粋な恒夫と知り合って普通の若い男女の恋愛を懸命に育んでいった。
普通の若者の恒夫にとって現実の将来を見つめる様な時期に差し掛かると、相手の障害が乗り越えれない自分と直面する事となり去らざる得ない心情に逆らえずに別れを迎える。
誰一人として悪くない出来事を人生経験が浅い青春時代に経ることによって、いろいろな事が分かっていく成長過程を過去に自分自身も経験してきた甘くて苦い思い出の郷愁が湧き上がってきた。