サマータイムブルース

コッポラの胡蝶の夢のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

コッポラの胡蝶の夢(2007年製作の映画)
4.9
胡蝶の夢→中国の思想家、荘子による、夢の中の自分が現実か、現実のほうが夢なのかといった説話である
蝶になってひらひらと飛ぶ夢を見た、目覚めてもなおその感覚が残っていた
はたしてそれは夢だったのか
それとも自分は蝶で、人間の姿こそ蝶の見ている夢ではないのか

コッポラ氏は若い頃から職業監督として成功し、プロデューサーや映画会社の意に沿った作品ばかり監督してきた、映画製作に対し欲求不満があった、と発言している
そこで、私財を投じて作り上げたパーソナルな作品が「コッポラの胡蝶の夢」である(Wikiより)

原題は「Youth Without Youth」
原作はミルチャ・エリアーデさんの幻想小説「若さなき若さ」
小説読もうと思って尼で検索したら5マソ円だったのでやめときました
「胡蝶の夢」の説話は、映画の中でチラッと出てきます

全て見たわけではないですが、コッポラ作品でこれが一番好き
どんな作品かと聞かれると、一言で答えるのがとても難しい、ジャンル分けが困難な映画です
先の展開が予測できない

ファンタジー、恋愛、ホラー、超能力、輪廻転生、宗教、ドッペルゲンガー、スパイ、サスペンス、ナチス・ドイツなど、いろんな要素が薄く詰まってます
一見すると、散漫な印象を受けます
でも、何度か見てるけど、あれ、どんな話だったっけ、って、また何度も見たくなる不思議な魅力に溢れた映画です
邦題が全てを表しているのかもしれません

後半の古代言語のルーツが明らかになって行く過程、展開がオカルト映画見ているみたいでゾクゾクしました

時々今が何年何月という年号が記載されますが、それが結構重要だったりします
映像と音楽が素敵
終始メランコリックで耽美的な雰囲気も好みです

ラウラとヴェロニカの一人二役を演じたアレクサンドラ・マリア・ララさんがうっとりするほど美しい
主演のティム・ロスさんも個性が強過ぎず、この配役にピッタリだと思いました

3本の薔薇が印象的です
余韻がいつまでも続く素敵な映画です