ねこじた

コッポラの胡蝶の夢のねこじたのレビュー・感想・評価

コッポラの胡蝶の夢(2007年製作の映画)
4.1
原作はミルチャエリアーデ「若さなき若さ」。コッポラが小説を読み、何かを感じ、これを監督したということが、もう映画だわ。最初、ベンジャミンバトン的なファンタジックな作品なのかと思ってたが、色々な要素を孕んだ、複雑で数奇で耽美な問題作でした。

難解さレベルは極めてて、個人的にサルトルの書を読書してる感覚を彷彿させる箇所もあって、わけわかめ、最高のカオス(笑)
果ては、ゲシュタポまで登場。ヒトラーに支えた科学者が、ヒトラーへの愛を大胆に語りだす。狂気。
中国の荘子の話題も出て来たところで、表題の種明かし。

人類が全うに存在する為に必要なものは何か?という問い。
西洋の芸術遺産、音楽、詩、古典哲学…。
文化に対し、ここでは、科学と説いてます。

コッポラらしい幻想的で絵画のようなカメラワークにも酩酊。ソフィアコッポラは、確実にDNAを受け継いでるなぁ。
この作品の面白さのおかげで、コッポラ作品への苦手意識が減少。
良さが解らなかった作品を再鑑してみようと思う。

最後に、ヒアアフターでも使われてたメロウでエモいピアノ曲が、この作品でも流れた。弾きたいなぁ。曲名を知ってる方いらっしゃったら御一報下さい。
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