デニロ

避暑地の出来事のデニロのレビュー・感想・評価

避暑地の出来事(1959年製作の映画)
2.5
1959年製作。脚本監督デルマー・デイヴス 。

ストーリーを思い返してみては、わからない、わからない、と『羅生門』の志村喬や千秋実状態になる。

二組の中年夫婦には曰くがある。片や没落資産家、片やその資産家の元従業員で今や成金。しかも、没落資産家の妻と、元従業員の成金はかねてより相思相愛の中。十数年ぶりの邂逅で燃え上がりっぱなし。没落資産家はアル中で、成金の妻はと言えば…よくわからないヒステリックな女。そして、彼らの息子、娘は一目惚れ。

人間関係はこんなところで、こうでもして整理しなけりゃまとまらない。

一番の見どころは、息子と娘がボート遊びをしていると転覆してしまいとある浜辺で一晩過ごす。帰ってきた娘にヒステリックな母親はあろうことか医者を呼び貞操の診察を受けさせる。激しく拒絶する娘。なんだか昔こんな場面を映画で観たような気がするが、本作だったかな。娘役はサンドラ・ディーで息子役はトロイ・ドナヒュー。この二人の性の葛藤もなかなか面白く、1960年前後はアメリカでもこんな感じだったんだろうか。成金の妻が夫をあなたのスウェーデンの血が、娘をふしだらにしている云々と罵る場面があり、おう、アメリカでのスウェーデンの評価はそんなところかと、笑えるのでした。後10年もするとアメリカ全体がそうなっていく予兆を本作は的確に予言している。

というわけだが、何が分からないと言って、親たちの息子、娘に対する評価。残り30分はまとまりが付かなくなりもはや意味不明。サンドラ・ディーは可愛いという刷り込みがあったが、ジッと観ているとそうでもない。本作時点でティーンエイジャーのようだが、そうも見えない。かなり老成している。本作以前の作品でアイドル化していたようだが、本作で別のステージに行く予定だったのか。でも、本作の出来もひどいが、あてがわれた役の選択も間違っているのではなかろうか。

蛇足ですが、本作を観た理由は別の作品と間違えたから。その作品とは、『去年の夏突然に』。避暑地の出来事だと思っていたのかもしれない。いつかは観たい。
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