せーや

サンタ・サングレ/聖なる血のせーやのレビュー・感想・評価

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あれだよね。
あんまりあの刺青
カッコよくないよね。

サーカスの魔術師である少年フェニックス。
彼の父親はアル中の浮気野郎、
彼の母親は新興宗教の狂信的信者。
ある日、彼の父親が、サーカスにやって来た
刺青の女と浮気していた…。

ホドロフスキーは
この作品を「商業映画」を意識して作ったといいます。

これは明らかに皮肉ですよね。
確かに他の作品と比べたら
かなりわかりやすいストーリーだけど
オープニングから商業感皆無ですよね。

少年時代に経験した
父と母の衝撃的な事件のせいで
精神に異常を来してしまったフェニックス。

今では精神病院に入院する彼だったが
彼のもとに、数十年ぶりに母親が姿を現す。

母親に操られる息子。
息子は母親の言うことに逆らえない。
母親は息子の全てだった。
しかし母親は、昔とは違った。

ホドロフスキーにしては
かなりわかりやすいストーリー展開。
しかしその意図するところとは。

フェニックスは孤独に生きてきた。
過去の事件の傷を負ったまま。

父に裏切られた母。
母を想うがあまり
息子がとった行動。

ラストに残る深い悲しみと
喜びともいえる解放感。

彼は呪縛から解き放たれたのか。
彼は自分の人生を生きることができるのか。

ホドロフスキーは言います。
「ハリウッドはタリバンと同じだ。
商業映画を売り、芸術を冒涜した。」

「商業映画」という
金儲けのための映画に対するホドロフスキーの憤り。
「芸術」に対するホドロフスキーの信念。

「ミケランジェロが彫刻を大量生産して売ったら
それは芸術といえるのか?」

映画とは、どうあるべきか。

特典のホドロフスキーのインタビューは
映画以上に見応えがあります。
…映画ももちろん素晴らしいよ。
せーや

せーや