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恋や恋なすな恋のchiyoのレビュー・感想・評価

恋や恋なすな恋(1962年製作の映画)
3.5
2020/8/22
平安絵巻なオープニングで雅さを出すものの、意外にも内容はがっつりファンタジー。そして、舞台劇やアニメーションの活用に加え、空飛ぶ人形赤子を登場させる等、なかなかの斬新さ。が、ストーリーも悪くはない、むしろ好み。名のある天文学者の後継者争い、早々に訪れる榊の前の退場、傷心で彷徨う主人公・保名、序盤はゆったりとした時の中で愛憎が犇めき合う。また、その後に訪れる葛の葉、狐葛の葉との出会いは、どちらも素敵な女性でどちらも切ない。特に後者は、いつかは来る生活の終焉が見えるけれど、狐葛の葉の情愛と罪悪感、残された保名の喪失感を思うと、ただただ悲しい。保名演じる大川橋蔵も好演していたけれど、何よりも、一人三役を務めた瑳峨三智子が素晴らしい。
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