ヒッチコックが手掛けた最後から2番目の作品ということもあり
過去の名作を踏襲しながらも、より現代的にまとめられていたと思う。
特に、女性を襲うカットで細部をあえて描写しない点が良かった。
そうすることで、観客は情景をよりイメージし作品に引き込まれていくのだと思う。
さらに、おぞましい行為こそ日常に溶け込むのだというヒッチコックらしいブラックなユーモアも汲み取れる。
また、“食”について扱うシーンにもこだわりを感じた。
特に、殺人鬼がりんごに齧りついている描写は女性を襲うことのメタファーであろうと思う。
随所に散りばめられたユーモアとシリアスなシーンのバランスと、それらに関わる人物模様の演出が素晴らしい。
初鑑賞であったが、かなり好みだった。