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X-MEN:ファースト・ジェネレーションのCinemanのレビュー・感想・評価

2.5
無茶振りで、X-men前三部作見ずにこれを見たら、あんまり魅力を感じなかったんだけど、ちゃんと公開順にみたら、楽しめた!

彼らは単独での魅力というより、やはりあのキャラの若き頃..!というのがわかってこそですね。
マカヴォイとファスベンダーの存在感、演技力、銀幕上を統べる魅力を感じられる。

マッドメンの印象の強い、January jonesは、この作品ではザ・ハリウッドヒロインというペラペラさを出せていて、「存在感」の幅が広い人ですね。
ミスティークが、ジェニファー・ローレンスというのは解釈一致笑
ミスティークの心情描写結構うまい。
マグニート、プロフェッサーXを一番理解しており、対立することなく自分のいく道を選んだ..という彼女のオリジンの描き方がすごくいいね。ともすれば、このポジションは、主人公2人の冷蔵庫の女になりかねないけど、絶妙な塩梅。

X-men zero以来、このシリーズ、本当に脚本力が上がっているね!
冷戦..キューバ危機を本当にうまく使っている。具体的にいうと、ミュータントを描きこんだことで、冷戦下のアメリカを相対化できている。
アメリカ政府の水面下の「汚さ」、「外交努力」の薄弱さ、戦争に至る両者の愚かさ。共通する人間の愚かさ。
今日の情勢下で見ると、これが何を描こうとしていたのか、よくわかる。
ある意味では、下手な史実ものドラマより、冷徹な観察眼がある。フィクションでしか描きえなかった歴史の側面の抉り出しをやっている。

それを象徴するのが下記のシーン。
プロフェッサーXが、マグニートに「船の上には善良な人たちがたくさんいる。彼らは命令に従っただけだ」と言って止めようとし、かえってその言葉はマグニートを攻撃に向かわせる決定打になり、彼が「そういう奴らが俺を虐げた」というのが本当に素晴らしいパンチラインだった。
「凡庸な悪」..見事なアーレントの言葉の体現。そして、マグニートの第二次対戦中の収容所出身という生い立ち..
本当に第二次大戦から冷戦に至る歴史と哲学をうまく反映していると思う。

そもそもマグニートの存在自体が、イスラエルを彷彿とさせるわけなんだけど..

いやはやマシュー・ボーンの力量、キングスマンよりもこの作品で感じた。これをエンタメに消化できてしまう、アメコミとアメコミ映画の凄みをつくづく。

この感じだと、アベンジャーズよりやっぱりX-men派かな。でも、「ファルコン、ウィンターソルジャー」とか、「エターナルズ」はこういう、X-menのエッセンスを継いでいる感じもする。
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