ブタブタ

X-MEN:ファースト・ジェネレーションのブタブタのレビュー・感想・評価

4.8
「ベーコンが悪役映画に外れなし」と言われる程(?)ボンクラ映画好きにとっては今最も信頼出来る男ケヴィン・ベーコン。

X-Menプリークェル第一弾ですが、マシュー・ボーン監督によるX-Menはおそらくはこれが最初で最後になるのでしょう。
ブライアン・シンガー監督のX-Menシリーズが当然ながらミュータント達の物語(フィクション)が中心なのに対し、このファーストクラス(原題)は米ソ冷戦下を舞台にX-Menの創成期とキューバ危機と言う現実の出来事にミュータントが如何に関わっていたか、歴史的な出来事が実は超能力者・異能力者達の活躍による物だった『ウォッチメン』にも通じる内容で、チャールズ率いるX-Men(初期)とセバスチャン・ショウ率いるヘルファイア・クラブ、それぞれが米ソと言う超大国の代理戦争を言わば行っており、互いにそれぞれ国家に与し利用しつつ利用されつつミュータント戦を繰り広げる様はそれ迄のX-Men映画シリーズとは赴きをやや異に感じて、山田風太郎の忍法帖、複数メンバーによるグループ戦は現代版『甲賀忍法帖』にも見えました。

X-Men映画ではずっと主役を張っていたウルヴァリン=最もヒーロー的なキャラクターがワンカットしか登場しない事、コレは超人達の冒険譚ではなく非常にダークなテイストのX-Menノワール(?)で、東西陣営のスパイ戦・情報戦の更にその水面下で超能力・異能力戦が行われている。
1番お気入りはチャールズがエマ・フロストの心を読んでセバスチャン・ショウの目的・計画を知る場面。
チャールズが幻視する米ソの終末戦争。
核爆発と広島原爆ドームと同じく黒焦げになったホワイトハウス。
その周りに集っているのは核戦争を生き残ったミュータントか、或いは放射能下で新たにミュータント化した人間?
「我々はアトム(原子)の子供だ」と言うセバスチャン・ショウの台詞。
核戦争後の世界を生き残れるのはミュータントだけであり、放射能と突然変異の因果関係がはっきり示されたのは本作だけではないでしょうか?

叩かれると岩石の鎧に包まれる環境適応能力のダーウィンがその最後に見せる男気が泣かせます。

そして俺達のベーコンさん演じるセバスチャン・ショウのノーネクタイスーツ及び詰襟に無骨なテレパシー遮断ヘルメットを被った姿が最高に恰好いいです。

オマケ(・∀・)
先日のテレビ放送で吹き替えを初めて見たのですが1作目ではミスティークの声は元々のちゃんとしたプロ声優・牛田さんでしたね。
『フューチャー&パスト・ローグエディション』でミスティークの声が元に戻されタレント吹き替え問題が再燃してますが(笑)
アポカリプスも当然の如くミスティークは牛田さんらしいですね。
嘗てのゴリ押しさんは結局フューチャー~1作だけでしたしこういう中途半端な誰も喜ばない行為は本当に止めて欲しいです。
ブタブタ

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