ポンコツ娘萌え萌え同盟

怪談雪女郎のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

怪談雪女郎(1968年製作の映画)
3.8
藤村志保が表現する複雑で多面な女の面相。
"怪談"雪女郎のタイトルなのでホラーを観る気満々だったら雪女の純愛を感じる映画だった。
超有名な妖怪・雪女を主軸に映した作品。だが、"怪談"という言語が含有する、人を脅かしゾクゾクさせる物語に対して、恐怖はあれど本作はアンチテーゼにも感じ取れる内容。
本作は怪奇性よりも雪女の"女の側面"を焦点に当て描いた内容だからである。
てか、与作に対して若いから美しいから誰にも言わんなら殺さんでやる、と何気に言葉でぼかしているけどこれは実質一目惚れやんけ?かわいい。

勿論藤村志保が序盤で見せた雪女の姿は恐ろしい。
幽鬼的で、寒冷的な妖艶な姿。非常に高い目の動きの技術で、彼女の目に見つめられた凍え死にそうなくらい。
恐ろしい妖怪・雪女の形相の一方で、対立するようにある"ゆき"と名乗る美女も演じる藤村志保の二面性を持つ演技が素晴らしい。そこで見せるのは妻の形相であり、また母親らしい形相も持ち合わせる。特に窮地に立たされた夫の与作を助けるゆきは、雪女なのに心は燻るような火のようだ。

だがそれでは女の形相をいくら映した所で瞳の奥に隠した秘密を与作が知らない限り、映画も像も作品そのものを完成することはできない。知った時、恐ろしさと哀しさの女の情念と純愛を見る。
それにしても今日は春並みに暖かいのに、2本連続雪が印象的な映画だなぁ