フリッツ・ラング監督による、第二次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台にしたポリティカル・サスペンス。
シンプルな設定と展開、恋愛要素も織り交ぜた脚本は小気味よいテンポとサスペンスフルなストーリーを楽しめる。
恋愛を絡めた逃亡劇はヒッチコックなどで食傷気味だったから少し残念。
ジェリーのキャラクターもあんまり魅力的じゃなかったし。
ジェリーと出会う前の序盤の方がよっぽどおもしろい。
と思っていたら、終盤から一気にテンポも上がり、熱量も上がってきた。
ジェリーのキャラクターも少し繊細に描写されるようになったし。
第二次世界大戦前夜の映画にありがちなプロパガンダ的な要素はあるが、ドイツの完全敗北でない展開なのが新鮮。
これがドイツから亡命したラング監督らしさなのかもしれない。
『猿の惑星』のコーネリアス役や刑事コロンボ『死の方程式』の犯人ロジャー役のロディ・マクドウォールが子役で出演している。
もっと活躍してほしかった。