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マン・ハントのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

マン・ハント(1941年製作の映画)
3.5
原題『Man Hunt』 (1941)

監督 : フリッツ・ラング
脚本 : ダドリー・ニコルズ、ラマー・トロッティ
撮影 : アーサー・C・ミラー
編集 : アレン・マクニール
音楽 : アルフレッド・ニューマン
出演 : ウォルター・ピジョン、ジョーン・ベネット、ジョージ・サンダース、他

ジェフリー・ハウスホールドの小説『追われる男』を原作とした、第二次世界大戦直前のヨーロッパを舞台に、世界に名だたる狩りの名人ソーンダイクが、たまたまヒトラーに照準を合わせてしまったために暗殺未遂事件の張本人としてゲシュタポから追われる事になってしまう様を描いたサスペンス映画。

何の弁護もなしに自国民の身柄を引き渡すことをいとわなかった イギリスの戦前のドイツに対する宥和政策と、ロンドンを自由に歩き回り、警察になりすまして民間人を恐怖に陥れるナチスの工作員の描写など、従来のアメリカ映画になかったナチスのリアルなイメージを米国の大衆に与え、以後のプロパガンダ映画のあり方に大きな影響を与えた、フリッツ・ラングの反ナチス映画。

古典的サスペンス作品で、ロマンスな場面はやや緊張感にかけ中弛み的に感じましたが、プレゼントしたプローチがラストで活きてくる伏線の回収(基本に忠実な伏線回収だが、近年の作品に多めの、意味がわからないディテールをばらまいておいて、「実はこうでした」という伏線ではない回収とは全く違う)、冒頭のライフルの照準がヒトラーを捕捉する瞬間、ゲシュタポの拷問を見せない演出、引きずられて絨毯につく足跡、霧のロンドン、地下鉄での追跡などはクラシカルな映画の良さを感じれました。

あと、冒頭のスコープ、船の隠れ場所、地下鉄トンネルでの死闘、最後の洞穴、などといった「穴」のモチーフが繰り返し使用されていました。
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