かなり悪いオヤジ

とんかつ大将のかなり悪いオヤジのレビュー・感想・評価

とんかつ大将(1952年製作の映画)
4.0
イヤー、カラっと揚がってるねぇこの映画。いつも以上にサクサクだよ、川島の旦那。そんでもってとんかつ揚げるシーンなんて一つも出てこねぇんだから、てぇ~したもんだよ。佐野周二の旦那も、とんかつでぇ好物だっていう割には1切れしか食わねんだよ、映画の中で。孤独のグルメだかなんだか知んねぇけど、食べるシーンだけでドラマが無いっちゅうのはどんなもんすかねぇ。それでも視聴率がとれてるっていうんだから時代も変わったもんでやんすよ、まったく。そこいくと川島の旦那がシナリオも書いてるこの映画、そんじょそこいらのTVドラマとはわけが違いますな、わけが。スポンサーの顔色うかがってんだか、観客バカにしてんだかよくわかんねぇドラマばっかしでしょ、近頃。ドクターXなんつう医療ドラマがありやんしたけと、手術シーンをクライマックスにもってきた映画っちゃあ、この『とんかつ大将』が魁じゃないんですかい、えーっ?しかも、地上げ屋がおこした火事をからませて盛り上げる演出、さすが川島の旦那考えることが普通と違いますなぁ。大将と同じシベリア帰りのバイオリン弾きを狂言回しに仕立て、病院の女院長先生(津島恵子)vsとんかつ屋女将(角梨枝子)の鞘当て、女将の弟の更正、長屋の地上げ問題、大将と生き別れた昔の恋人と戦友、目の見えないあっしの娘なんかをうまーく絡めた物語には、無駄がないんすよ無駄が。エンタメっちゅうのはこう撮ると面白くなるんだぜっていう見本だね、こりゃあ。