抹茶マラカス

美しき諍い女(いさかいめ)の抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

3.9
かつて妻をモデルに描いた未完の作品を新たなモデルで老画家が仕上げる。それだけの話といえばそうなのだが、画家は裸体となったモデルに骨格を捨て去り、内面だけを掬い取ることを求め、両者は互いに極度の緊張関係になっていく。
裸体こそ映りっぱなしだが、そこにエロティシズムは感じず、むしろそれが被服をもがれた人体として存在することばかりが印象づけられる。そうして掬い取られたある種の本質はとてつもなく残酷…だったのだろう。
その完成をもって両者は何かが決定的に変わってしまったように見受けられた