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風の外側のtheocatsのレビュー・感想・評価

風の外側(2007年製作の映画)
3.9
予想外に固唾を飲んで最後まで見させられる

失礼ながら視聴前は監督:奥田瑛二氏の芸術的雰囲気に浸りきっただらだらムード映画なんじゃなかろうかという先入観を抱いていたが、序盤からその懸念した〝芸術的雰囲気”か、或いはロケ地の空気感が妙にシンクロしてしまったようで、映画の世界観に程よく沈潜しながら最後まで見させられてしまった。

端的に言えば良いとこのお嬢様高校生と、半端チンピラ青年の格差恋愛物語なんだけど、共通項は「在日」。
在日でなければならない必然性までは完全に理解はできなかったものの、そこには「鉄砲玉にさせられるのは在日」、或いは「良いとこ育ちで才覚があっても在日だから差別される」、などの日本における現状を訴求したい何かが製作陣や監督にあったのかもしれない。

それらを差し置いたとしても、最初は頼りなさげな主役男子の演技も丁度いい塩梅と途中から思えるようになったし、俳優でもある奥田監督の心配りが随所に感じられたような気がした。

またしても見るまでは映画の良し悪しは分からないものだと痛感させられました。012111
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