Pulitan

友だちのうちはどこ?のPulitanのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
4.5
大人たちの勝手な価値観を押し付けられて、自らの意思をも無視されて、大人の都合で労働力の一つとして使われる子ども。しかし、子どもたちは皆、純粋だ。こまかしがなく、澄んだ目で真っ直ぐを見ている。不条理な現実を直視して、その中で精一杯の信念を持って進んでいる。
友だちのノートを返す、という行為がどれだけの大きな意味をもつのか、大人の誰一人として耳を貸そうとしない。それでも挫けることなく、ノートを返す、ただそれだけを貫き通そうとする。
大人たち、特に老人は自らの過去を振り返り、それを正当化するために、自分達の偉大さを誇示するために8歳の子どもに話しかける。
全体にイランの貧困、余裕の無さ、生きることで精一杯の背景がある。全ては貧困ゆえだと思う。悲しい。

少年たちが大人になった時に、この出会った大人たちのようになるのだろうか?そうならないで欲しい。この純粋な気持ちを持ち続けて、思いやりのある国を作っていってほしいと願う。貧困が少しでも豊かになりますように。心をも豊かであり続けられますように。

ラストシーンで全てが浄化された。素晴らしい作品だ!
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