NaomichiTamiya

友だちのうちはどこ?のNaomichiTamiyaのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
3.6
primeにて視聴

primeにて何を見ようか探していた際に、目に留まったイラン制作の作品。

イランの山あいの村で暮らす一人の子供の姿を描いた作品で、学校で使う大事なノートを、間違えて隣の子の分まで持ち帰ってしまい、それを友達の自宅まで返しに行こうとする姿が描かれているだけの作品。

本当に、友達のノートを返しに行こうとするだけの物語なのだが、それが小学校2年の8歳の子供の目線で描かれることにより、大人たちに伝わらない気持ちや、切羽詰まった子供なりの事情が、淡々と描かれている。ただ必死になって行動する子供の姿が、健気過ぎる。

同じ過ちを2度繰り返すまでは許されるが、3度目は大きな罰を受けなければならないという教師の指導方針は厳格であり、それがイランでの教育方針(しつけ)なのか、子供らはそこに恐れを感じている様子が印象的でもあった。

友達のために、親の言うことより優先し、自分の意思で知らない土地へ一人走る決断をとる主人公の少年の姿や、段取りも考えも幼稚なままで、行き当たりばったりする展開でも、何とかしようと子供なりに必死な姿、その必死な子供の訴えにすら、大人たちは素っ気ない態度を示すばかり。

果たして、彼は無事に友達のノートを返すことができたのだろうか。子供目線で繰り広げられる、小さな冒険の物語は、単調な流れながらも、途中から目が離せなくなってしまう。

甘やかされずに育てられ、子供でも人手として使われるそんな生活の中だからこそ、主人公のようなまっすぐな子が育つのだろうかと、子の育て方について考えてしまうところがあった。

それにしても、登場する老人や親らの、子供の意見や考え方に対する関心が薄いのは、その国の文化や背景によるものなのだろうか。

イラン版「はじめてのお使い」とまではいかないながらも、子供の健気な姿を描いた作品としては、その国ならではの様子を垣間見れるので、興味深い作品ではあった。
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