このレビューはネタバレを含みます
この世に産み落とされたいのちが、これから一緒に生きていく日を見たふたりが、ただ日々を繋いでいたひとり、ひとりが、こんな風に一瞬のうちに、昨日も今日も明日も奪われてしまうなんて、どうしても考えられない、
見上げた空が光った瞬間にもういないなんて
今実際に起きている戦争の風景をいくら見ても、私は戦争を知らない、と思う
知らないことがしあわせと言ってしまうこともできない
でも、悩みも苦しみも悲しみも、まだ持っていることができるだけでも大切にすべきことなのかもしれない、(いまのところ)戦争という免れ得ぬ死の脅威を感じることのない日々の中では、それすら贅沢な感情のはずだから
黒木和雄の映像には、そこに映っていない人たちの感情や、重ねてきた、重ねていく時間さえも捉えられているように感じる